カラオケ教室とボーカルスクールって何が違うの?

歌を習いたいと思ったとき、どんなキーワードを使って検索しますか?

  • ボーカルスクール
  • カラオケ教室
  • 歌、学校
  • ボイストレーニング
  • ボーカルレッスン

ボーカル、ボイトレ、カラオケを並列で考えてしまうと思います。
確かに多くのスクールのサイトに、必ずこれらのキーワードが含まれています。

ですが厳密には、それぞれ専門性が異なることを知っておく必要があります。
まずは狭義での違いについて、私見を交えお話します。

カラオケとボーカルの違い

私がこの質問をされた時は、次のように答えます。

「カラオケはぬり絵、ボーカルは絵画」

基本、カラオケは自分が楽しむものです。
上手い下手に囚われず、ただ大きな声を出してストレス発散することを目的に歌っても、誰に文句を言われる筋合いはありません。

“ぬり絵”のように、すでに描かれている絵を好みの色で塗っていく。せいぜいはみ出さないように注意すれば、それだけで自分仕様のぬり絵が完成します。自分が楽しめ、自分が満足できれば十分です。

それに対して、ボーカルは自ら表現し、人を楽しませるものだと考えます。

ならばオリジナル曲じゃなきゃだめ?そんなことはありません。
それはまた別の表現方法です。ことば(作詞)を使って、音階(作曲)を使って、音色(編曲)を使って、楽器(演奏)を使って表現することもできる。
なかでも、歌声を使って表現するのがボーカルということです。

白いキャンバスに、自らの意志で描いていく。
描きたいものをよくよく観察して、どのような構図で、どんな色彩やタッチで描くかで同じ画題(風景や人物など)でも、異なる作品が生まれます。

ボイストレーニングとボーカルレッスンの違い

ボーカル&ボイトレ界隈の先生たちには次のような方々がいます。

  • ボーカリスト
  • 声楽家
  • 作曲家
  • アナウンサー、司会業
  • 声優、ナレーター
  • 俳優、演出家
  • 音声学や発声学を学んだ人

一口にボーカルコーチ、ボイストレーナーと言っても、同じ知識や技術を有しているわけではありません。
もっと言えば、すべての先生が歌が歌えるわけでも教えられるわけでもなく、また歌えるからと言って発声などの指導が行えるとも限りません。

「歌のレッスン=ボイトレ」ではない

歌のレッスンのことをボイトレと呼ぶ人がいますが、ボイストレーニングとは、正確には「声」に特化したトレーニングの総称です。

病気で発声が困難になった方、もともと声が上手く出せず悩んでいる方、すぐに声枯れしてしまう方、あがり症で人前で上手く話せない方など、歌とは関係なく声のトレーニングをしたい人のための指導をするのがボイストレーナーです。
そのため、医療関係機関でリハビリなどを行うボイストレーナーもいます。

ですので、ボイストレーナー全員が歌の指導ができるはずもありません。

「ボイストレーナー=ボーカルコーチ」ではない

細分化しても分かりづらいため、ほぼ同義として使われていますが、現実的には歌唱指導ができないボイストレーナー、ボイストレーニングができないボーカルコーチも多く存在します。

ボーカルレッスンは、歌の指導が中心になります。
個人的にはボイトレなくして、歌唱技術の向上は不可能だと考えますが、同時にボイトレだけで歌が上手くなるとも思えません。

ボイトレで楽器の機能を上げ、ボーカルレッスンで奏者の腕を磨く!

発声練習だけをしていても、それをどのように歌声に反映させるかが分からなくては歌は上手くなりません。
いくら歌唱のアドバイス(歌の感想)を得ても、実践するためのボディーコントロールの仕方や具体的な練習方法が分からなければ、絵に描いた餅で終わってしまいます。

歌が上手くなるためのボーカルレッスン

ボーカルスクールの先生たちは、当然音楽系の人たちです。
但し、歌のための適切なボイストレーニングが指導できるか、歌唱のアドバイスではなく、歌唱技術そのものを指導できるかは人に依ります。

少し乱暴な言い方になるかもしれませんが、”誰に習うか“次第です。

歌うためのボイトレ、歌唱指導を受けたいのであれば、ボーカルレッスンを行っているスクールで直接先生に聞いてみる他ありません。
聞きにくければ、他の生徒さんのレッスンを見学させてもらうと良いでしょう。事前に許可を得なくてはならないでしょうが、拒否はされないと思います。

もし、日常的に「話すための声」を改善・強化することを目的にしたボイトレなら、ボーカルスクールなどではなく、話し方教室に通うことをお勧めします。

カラオケ教室とボーカルスクールの違い

自分には、どんなスクール・どんな先生がいいか、イメージはできたでしょうか。
ここで、カラオケ教室とボーカルスクールの違いを端的にまとめます。

☑カラオケ教室は、自分が楽しむために上手くなることを優先。ボーカルスクールは、人を楽しませるために上手くなることを優先する。

☑カラオケ教室は、歌いたい曲が歌えるように練習。ボーカルレッスンは、歌そのものが上手くなるように練習する。

☑カラオケ教室は、歌うこと自体を楽しむ場所。ボーカルスクールは、音楽(歌)について学び、音楽することを楽しむ場所。

スクールの数だけ、また先生の数だけ、考え方や指導方針(内容)に違いがあります。
歌の上手さ、指導スキルの高さ、実績や経験、人間性(相性)……何に重きを置くかは人それぞれです。ぜひ直接足を運んで、納得のいく環境・先生を見つけてください。

最後に・・・

  • 歌うことをもっと好きになりたい
  • 楽しむためにもっと上手くなりたい
  • 好きなことを共有できる場所や仲間がほしい
  • 何か成長できることに挑戦したい

このような思いでレッスンを始める人がほとんどです。
なにはともあれ、まずは本気で上手くなることを目指しましょう!
その過程で、新たな目標が見つかるかもしれません。真の目的に気付くことができるかもしれません。